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父の死を通して1

T君の父上とお会いしたのは、彼の演劇デビューで仙台に行った時でした。ちょっとお話をしただけでも、その軽妙でありながら含蓄のある話術に、すっかりファンになってしまったものです。きっとT君の独特の面白さはお父さんに似たのですね。

もちろんT君は時々恐いけれども、やさしいお父さんが大好きで、こんなメールをくれたことがあります。


ぼくがねているとき

おとうが「とっぴーただいま」とかえてきます

びくりして めをつぶたまま「あはーい おとーおかえり」といいます

おとうはぼくのねているところに となりにねます

「とっぴーうたうぞ いちにさん とっぴーうやううぞ」といいます

「あーかーいー ゆーひがー こうしゃーをそーめーてー にーれーのこかーげにー 

しーずーむこーろー あーあーあー こうこーさんねんせー」

ぼくはねながらうかいます おとうもいしょにうたいます

おおきなこえでうたいます

そしておとうはねてしまいます

ぼくは もいかいねます

おさけをのまないおとうさんは すきです

おさけをのんだおとうさんは すこしすきです


昭和歌謡が得意のお父さんの影響で、T君の歌のコレクションは舟木一夫や西郷輝彦一色になってしまっているようです♪なんてアナログな不思議な17歳!

そんな大好きなお父さんが病を得、余命も少ないと分った時。お父さんは仕事をやめ、病院での延命治療もやめるという決断をしました。家族とともに過ごす時間を大切にしたいという理由のために...

私が仙台に伺った時には、もうそんな状態の時でした。たまたま彼と並んで歩く機会があった時に、明るく輝く夕焼けの下で彼はこんな事を言っていました。

死んでゆくのに不安がないといったらウソになるけど、今俺にできることを考えて、マンションの一棟買いでもしておこうか、と思っているんだ。今仙台では空前のマンションブームだから、家賃収入でTとかみさんぐらいだったらの生活できるでしょ。

このことはT君にも母上にも黙っていてね、と言われたので今でもこの話はしていませんし、その後本当にマンションを買ったのかどうかも分りません。ですが、この会話で私はますますT君の「おとう」のファンになってしまったのです。

メル友T君の場合

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