トップ > 天才画家S君の場合 > 彼の個展でのライブ

彼の個展でのライブ

出会いから4ヶ月。S君は私の住んでいる町で個展をすることになりました。ご両親から連絡があり、そのクロージングパーティーの時にライブをやってくれないか、と頼まれました。実は私は友達と数人で和太鼓のバンドを組んでライブ活動をしていたのです。

ご両親の依頼を断る理由はありませんでしたし、その個展会場では私達も何度かライブをやっているので、快くOKしました。

ライブ当日、私達は先乗りしてリハをしていたのですが、そこに現れたS君はなんだかご機嫌が悪いようです。母上に聞くと遅れそうになったので近道をしたらしいのです。自閉症者独特のこだわりで、いつもの道じゃないことに腹を立てていたのですね。

でもそれもお菓子を食べたり、おしゃべりをしたりしているうちに治まって、いよいよライブが始まりました。

元々太鼓という楽器は大きな音をだすものです。その上、その個展会場は大谷石の蔵を改装した建物だったため、より響く構造になっていたのでした。

経験的に子供達は太鼓の音が大好きです。ある説によるとお腹に響くような太鼓の音とリズムが、お母さんのお腹の中にいたころを思い起こさせるから、と言われています。しかしそれがはたして自閉症者にも通じるのでしょうか?

大丈夫かな?太鼓の音を嫌がらないかな?いつものライブのように期待感で胸がいっぱいになるのではなく、今回は少々不安もまじる中で大太鼓から曲がはじまりました。

ですが、うれしいことに、そんな心配はまったくなかったようです。2曲目が始まるとS君は自分でステージにかけあがってきていました。本当に楽しそうに、踊りながら!

お客様もそんなS君を拍手で応援します。そしてステージ上のメンバーは「踊りすぎて舞台から落ちちゃ大変」と笑顔の中にも目配りをしっかりとしての演奏です^_^;

およそ45分のステージのラストは、ちょうどその日が誕生日だったS君へ花束贈呈とケーキのろうそく消しでクライマックス。

一度で消えなかったらやばい!とS君の横にスタンバッていた私の助けはまったくの老婆心に終わり、彼は一息でケーキのろうそくを吹き消して超ごきげん♪

T君にしてもS君にしても、自閉症の人はステージであがるということが少ないのかもしれませんね。とにもかくにもS君の18回目のバースデーは素敵なものになったようです。
天才画家S君の場合

前の記事 | 次の記事

関連記事