T君がプロの演劇に出る、という話を聞いた私はもちろん仙台へと飛んでいきました。なんでもT君の通っている施設の隣が、その演劇集団の稽古場兼ステージだという縁から、キャスティングされたようです。
折りしも、その施設の文化祭の真っ最中だったので、私は以前からやってみたかった「さおり織」に挑戦させてもらいました。先生の指導のもと、自分の好きな糸を選んで織っていく「さおり織」は、すっかりはまってしまうほど楽しいものでした。
この「さおり織」も障害者の人たちが独り立ちできるように、考案されたものだそうそうです。一心に織っている私の横でT君も突っついたり、糸をよじったりと大忙し?です。
そうこうするうちに、いよいよお芝居の本番が始まりました。内容はかつての黒テントをほうふつとさせる不条理劇のようです。T君と施設の出演者達は結構内容の濃い役柄を演じていましたが、内容を理解しているかどうかは分りません。もちろん私もですが^_^;
きっとチョイ役なのだろう、とタカをくくっていた部分があったのですが、なんとT君は長ぜりふのある結構重要な役どころだったのでした。いつも照れてばかりいる彼ですが、お芝居中はあがりもせず、しっかりとせりふを言っていたのには、本当に驚かされました。
お芝居が終わると打ち上げです。先生達のご好意によってなんと私まで参加させて頂き、自己紹介をする時には、私の方がすっかりあがってしまいました。
この経験によって私の中には2つの思いが強く刻まれました。そしてそれは今でも私の中に根を張り、大きくなっていると思いたい程素敵なものでした。
ひとつはT君のいる施設の先生方の、神様のようなやさしさです。さまざまな障害をもった子供達や大人を相手にして、いらだつこともさぞ多いだろうと思うのに、指導はしても絶対に感情的に怒らないのです。本当に素敵な本物の大人ですね。
もうひとつは、自閉症や他のさまざまな障害を持っているからと言って、素晴らしい仕事をしたり、思いやりを持ったりする能力は健常者と同じなんだ、ということです。頭の中では分っているつもりでも、いざ目の前で見て、感じるとその思いはひとしおでした。
感動の演劇デビュー
メル友T君の場合
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